DA6 インテグラ 実験車両1号

容量アップラジエターに交換

実のところ、2001年早々にはクーラントが漏れ始めていた。雪道に車を止めておくと、下には赤い液体がポツポツと・・・おかしいなー、AT車になった覚えはないのだが。(^^;ゞ

北山工房 トップページへ

とりあえずクーラントを満たし、エンジンを掛けてあちこち覗き込むと、プラスチック製のアッパータンクとラジエターコアの継ぎ目から滲んでいるのがわかった。さっさと修理するのも能がないので、いろいろと試してみる。

エンジンルームを覗き込むとこんな具合。EXマニカバーに付着した赤いものは・・・明らかにクーラント。

クーラントはミッションケースにまで飛び散っている。
これがAT車だったら、「ブリーザーからのATF漏れか?」なんて誤解したりして。

先ずは液体パッキンを継ぎ目に塗る。塗ったくって乾かす。が、パッキン本体から滲み出てくる。これは失敗。

サブタンクが付いているので「減り」の確認は容易だし、ここから供給してくれるのだが、頼りすぎには気をつけなければ。

ラジエターキャップを外す。コアが丸々と見える。これを当たり前の風景と思えてしまう異常な神経。

次にホルツのラジエター漏れ止め剤を試す。この製品、空気に触れて温まると石のように固まる性質を持つ様で、プロの間でもある程度の実績がある。すると・・・




止まりましたーーー (^^)v




ポタポタと垂れていたので1日近くかかったが、ピタリと止まった。さすがである。ただ、この製品は「冷却経路が詰まるから避けたほうがよい」との説もあるので、何ともいえない。本来は2度目のマフラー補修にもあるとおり、あくまで一時的なものだろう。他社の製品では、細いファイバーを使って漏れを止めるものもある。これはどうなんだろう?誰か使った人、います?

どうせダメだろうと思いながら塗る。塗る。

グルッと一周塗ったくる。前にはコンデンサーが有るので結構塗り難い。

ホルツのラドウエルド。急場で車検だけ通したい方へ。

いつの間にかパッケージが変わったのか、この様なものもある。

ここで余談を一つ。

レース用クーラントがどうなっているのか興味が無いのでアレだが、一般的にクーラントといえば、漏れた時に分かりやすい様に色が付いている。赤と緑。性能は一緒。ただ、先に書いたように赤だとATFと間違えやすいので個人的には緑を使いたい。

また、特にスチールブロックの場合は、いつまでもクーラントを交換しないでいると稀に錆色になる事がある。原因を追究するのは当然として、赤だとこれが赤と茶色で判かり難い。緑だとそれが明らか。今まで赤を使ってきたのは頂き物だったため。

ちなみに赤を使っているメーカーはトヨタ系のトヨタ、ダイハツ。緑はホンダ、スズキあたり。

なぜ水では無くクーラントを使うのかって、一番の目的は凍結防止。−30℃迄は保証してくれる。

もう一つは防錆。先に書いた錆色〜というヤツ。相手を錆びさせないのは大事。

これも大事なのだか消泡。一説では、クーラントに添加されている消泡剤は約半年で寿命とか。

そんなこんなで定期的に交換が必要なクーラントだが、最近の新車に充填されているクーラントは半永久的に交換が不要とか。そんなにウマイ話があるかは微妙だが、機会があったらこちらもテストしてみたい。

話は戻って消泡の件。

ウオーターポンプでグルグルと掻き混ぜれば急減圧でキャビテーションが発生する。また、沸騰寸前であれば、それだけでも泡は発生する。ナベの内側にポツポツと付くアレ。あんなものがウオーターラインにビッシリと付いてしまっては、それはもはや空冷エンジンである。じゃあ消泡剤がどれ程の効果を持つのか?という素朴な疑問から、クーラントをペットボトルに入れて力一杯振ってみた(^^;

約3〜5秒後。何も無い様に見えるんだけれども・・・

こま〜かい泡が見える。

緑色の方が見やすいかな?泡を小さくするのが目的のようだ。

同条件での水道水。一瞬で泡は消えたが、泡そのものは相当に大きい。

ご覧の通り、泡をできるだけ小さくして「空冷化」を防ぐ考え方の様だ。

これを踏まえてレース用クーラントの件。

’80〜’90年代にかけて一つの頂点を極めたCカー。そのCカー用エンジンを設計した人によると、冷却水には何と、真水を使ったという。

この世で最も比熱の大きいものは真水である、がその理由。確かに、クーラントなる「混ぜ物、不純物」を入れてしまえばそれだけ比熱は下がるのだから、比熱だけを考えれば邪魔物である。消泡と比熱を天秤にかけた結果だろう。

この時代にレース用クーラントが有ったかどうかは分からないが、「レース用」とする程だから、凍結防止剤と防錆剤は不要だろう。1レースギリギリ持つだけの消泡剤を入れて比熱の低下を最低限に抑え、レースごとに抜いてしまう。冬になればどうせO/Hするだろうし。以上はあくまで想像だが、どういった成分になっているのか、また、本当に真水より優秀なのか、何かの機会にテストしてみたい。

そんな事をしているうちに、さすがのラドウエルドも限界の様で、消費量は2週間/Lとなってきた。これ以上粘っても無意味と判断。交換に踏み切った。

さて、交換といえば普通は純正品となる。ところが純正品はバカ高。相場を知らない人は「仕方ない」と思うかも知れないが、ところが探せば有るもので、純正よりも安いにもかかわらず放熱カロリー量が20%アップという。北山工房という性格上、少々車を酷使するし、テストの意味合いも含めてこちらを選択した。

取り外したラジエター。こうやって見てみると、どこから漏れたかは一目瞭然。

ロアータンクの厚さ44mmに対し、コアの厚さは16mmと、純正の単層はこんなに薄い。

新しいラジエター。ロアータンクの形状に注意。

ロアータンクの厚さは53mmと9mmのアップ。コアは2層で32mm。それだけたくさん水が入るので、入っただけ重くなる。

さて・・・とファンを取り付けようとしたら、ロアータンクに見慣れないチューブが2本。これってもしや、



ATFクーラー!!!



このラジエター、AT用じゃないの?問い合わせてみると、MT、AT共用だとか。今や旧車の部類だし、いちいち取り揃えていられないか。ATFクーラーを使う予定は無いけれど、取りあえずパイプにガムテープを巻く。

どれ程の効果が有るかは知らないが、ロアータンクに水冷式ATFクーラーが内蔵されている。ATFの温まりが遅い場合、逆にクーラントによって適正温度に暖められるので、ATFウオーマーに早変わりする。

今度はファン関係・・・と、こちらも問題発生。ファンのシュラウドとコアが当たってしまう。これは、今まで単層だったものが2層になった為。ロアータンクは9mmしか厚くなっていないのに、コアは16mmも厚くなっている。その差7mm。前と後ろで3.5mmづつであればどうって事無さそうだが、それ以上に豪快に当たっている。長いボルトにしてワッシャーを何枚か挟めてもいいけれど、ただでさえラジエターの厚みが増えたのに、シュラウドまで下げてこれ以上EXマニに近づけたくなかったのでシュラウドを削った。

削ったシュラウド。今思えば、取りあえずワッシャーを挟んでも良かったかなー。

そしてようやく付いたファン。これごと車両へ搭載する。

車両への搭載完了。後はエア抜きをして終わりか・・・と水を入れると、何やらジョロジョロと不吉な音が。

ラジエターホースを付け忘れたかな???問題無いなー。

ああそうか。ドレーンかな?でも触った記憶、無いんだけど???ここも問題無いなー。

じゃあ一体どこよ?ラジエターマウントから漏れている様な。そんな所から漏れるか?フツー。

どうにも分からないのでせっかく搭載したラジエターを外す。すると・・・



またも問題発生!!!

ロアータンクが亀裂、陥没。

ヲイ、冗談だろ!!こんな事ってあるの??こんな大穴が開いていれば漏れて当然。ここは円筒形のゴムを介して車両側のラジエターマウントに接する部分。梱包はしっかりしていたし、私も取扱いには気を使っていたので、これはもう運送業者の荷扱いの問題だろう。

状況は分かった。取りあえず販売元に連絡してみる。すると、販売元の責任に於いてクレーム扱いで対応してくれるという。送料も全て向こう持ち。助かったー。

助かったーはいいけれど、毎日使う1号車なので、代わりのラジエターが来るまでこのままという訳にはいかない。こうなってはあの腐れきったラジエターを使うしかない。こんな物でも無いよりはマシ。やはり試運転が滞りなく終了するまでは交換部品を捨てるべきでは無い。念の為に丁寧に外して取っておいて良かったー。

待つこと数日。代替品が届いて試運転も無事終了。これが当たり前なんだけどね。

何事も無かったかの様に収まっている。

後は「死んだ」ラジエターを処分するだけだが、せっかくなので分解し、中を覗いてみる。

横に一列並んでいる。だから単層。