DA6 インテグラ 実験車両1号

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ボッシュとHKSのプラグを比較する

1号車のエンジンは調子がいい。燃費も良く、流れの良い所をスルスルと走っていれば15km/L、間瀬を走ると現地への往復を含めても10km/L近くは出る。SPOONのコンピューターが入っていることを考えても上出来。

ところが、3号車のエンジンはすこぶる調子が悪い。パワーはそこそこ出ている様だが、何となく吹け上がりが鈍い。燃費も悪く、間瀬を走ると現地への往復を含めても5〜6km/L近くをウロつく始末。ついでに言わせてもらうとオイル消費も多く、合計1時間の全開走行で0.5L近く減る事もあり、新品のオイルは一発で真っ黒になる。まるでジーゼル。仮に4時間の耐久レースに出たとすると2L近く減ることも考えなければならず、レース中にオイル補充という事態も・・・。まさに「給油」だ(--;

燃費が悪いという事は、結局のところインジェクター開弁率の問題だ。なぜそんなに噴く?燃焼状態はどうなっているんだ?という事で取りあえずは燃焼室唯一の目撃者であるプラグの様子を見ると・・・


スゲーんだな。これが。


減りまくってる上に真っ黒け。この車を譲り受けた時からレーシングプラグが着いていたが、減ったレーシングプラグを着ける位だったら新品のノーマルの方がまだマシというもの。この燃費の悪さがプラグのせいとは思わないが、もし1号車に着けたらどうなるのか?試してみた。

3号車に着いていたHKSプラグ。「S40i」とあるが・・・

結局はデンソー(日本電装)が造ってるのね。そりゃーそうだわな。

減りまくり。接地電極まで丸まっている点に注意。

そしてもう2本。最初にギャップをチェックした時は軽く1mmを越えていたが、取りあえず0.6〜0.7mmで調整しておいた。

汚れ気味の2本はそのまま1号車の2番・4番シリンダーに着ける。

まだマシな方の2本は接地電極とその周辺を軽く清掃して1番・3番シリンダーに着ける。

それにしてもこの細過ぎる中心電極、好きになれないなー。

1号車から外したボッシュ・FR6DP1。何ともキレイな焼け具合。右から1番、2番。プラグギャップは0.6〜0.7mm。

同じく右から3番、4番。中心電極の太さは0.9mm。個人的にはこれ位が好み。

約1000km走行後のHKSプラグ。右から1番、2番。焼けすぎか?これでレーシングプラグ?

同じく右から3番、4番。全気筒が等しく焼けている。

このHKSプラグはデンソーが造っている。デンソーとしては立場上、ある程度の耐久性を持たせなければならない筈。知らない人が「高いんだから長持ちする高級品なんだろう」と考えてレーシングプラグなんか使って「デンソーのプラグは減りが早い」という評判が流れたら大変だし。でも、もっと際どい商品を出したくなっても不思議じゃない。そこにプラグ生産設備を持たないHKSが飛び付き、両者の思惑が一致した、と考えるのが妥当だろう。

ところで、今まで熱価がどれ位なのか知らないまま使っていた^^;なのでHKSのHPで調べてみたが相当なものらしい。NGKの8番に相当といえば、B16A、B18Cを搭載する1号車、3号車の2ランク上。B16B、B18CタイプR、K20AタイプR/ユーロR、F20C用の1ランク上となる。

そんな熱価を使ったからカブったのか?といえば、それは違う。カブったのではなく、オイルですよオイル。カブりであればカーボンが付いて「つや消し黒」となるが、コッチは光り輝いている(--;

1レースでオイルが真っ黒になるということはバルブ回りではなくピストン回りだろう。クリアランスが広がってブローバイがクランクケースに回り、オイルが汚れる。同時にオイルは上へ上へと持ち出され、ロータリーや2ストの様にバンバン燃やされて残ったカスがプラグや燃焼室に付着する。あまりにオイル消費が多いので「廃油ストーブ」と名づけたくなる。廃油処理の要らないエンジン。B18C廃油ストーブ。社外品の「高性能」エア・エレメントでも長期間使用していたのだろうか。「高性能」ったって、メリットとデメリットがあるんですぜ、ダンナ。

それを踏まえてのプラグチェックだが、汚れ具合がバラバラ。どれがどれだったかゴッチャになったのは単純に私のミス。なので汚れている方を1号車の2番、4番に。まだマシな方は接地電極とその周辺を軽く清掃して1番、3番に着ける。

それというのも、必ずしも全気筒が同じ空燃比で運転されているとは限らないからだ。スロットルから入ってきた空気は一度サージタンクに入るが、どうしても一番奥の突き当たりで空気が密になりやすい。このエンジンの場合は1番がそれに相当する。なので、もしバラけていれば今回清掃した1番は更に焼けるはず。ところで、プラグのメンテナンスに「清掃」を必要とするエンジンはセッティングが取れていない証拠だ。セルフクリーニング温度に到達すれば何もしなくたってカーボンは勝手に切れてくれる。プラグのトラブルでエンジンが不調になった話なんて聞いたことが無い。プラグがダメになるのではなく、なぜダメになったのかを考えることが重要。

1号車のプラグをチェックしてみる。こちらにはボッシュ・ブループラチナのFR6DP1を相当昔につけてあるが、何とも美しい焼け具合。もうウットリ。(←かなりアブナイ人)全気筒揃って著しいカーボンの付着無し。デポジットも無し。熱価はメーカー指定値のNGKの6番に相当する。驚くべきは耐摩耗性で、確か0.6mmに調整してそのまま何年もほったらかしだったのだが、今になってギャップを確認すると0.6〜0.7mm。


全然減っていない


凄すぎるぞ。ブループラチナ。

今度はHKSプラグを1号車に着けて約1000km運転し、焼け具合をチェックする。やはり全気筒揃っている。シリンダー間の空燃比のバラつきは問題無さそう。ただ、接地電極が白過ぎる様な気がする。ホントにNGKの8番に相当しているのだろうか?ちょっと焼け気味ではないだろうか。

気になる燃費について。1号車のe-manage制御は未だに続いている。詳しくはe-manage(燃費編)をご覧頂くとして、あれから更に14.6、14.6、15.1、15.3、15.1、14.9、14.9、14.7km/Lとなり、平均では242.39Lで3614.1km走ったので14.9km/Lとなっている。秋には好転するか?と思っていたのに、まるで変わらず(--;

そして今回、14.4、14.6、14.3km/Lとなり、平均では102.05Lで1471.6km走ったので14.4km/Lとなった。どちらも燃料はハイオクではなくレギュラー。サンプルが少ないのはご愛敬。この事から、多少はプラグの影響はあるが、やはり根本的に何かがおかしいと見るべきだ。

プラグギャップについて。
空中放電をさせるのだから、ただ単に放電のし易さを優先するならどんどん狭くしたほうが良い。狭ければ狭いほど要求電圧が下がるので高回転域など、悪条件下でも火花は飛びやすい。しかしながら、プラグは火花を飛ばす為にあるのではなく、混合気を燃焼する為にあるのだから火花だけ飛んでいても意味が無い。なので、火花が飛んでくれるのであればギャップは広ければ広いほど良い。それだけ混合気に触れるチャンスが増えるからだ。

それを考えると、3号車は、今まで1号車が着けていたボッシュ・ブループラチナFR6DP1を0.6〜0.7mmにして様子を見ようと思う。

1号車については少々やりすぎだったかもしれない。過去に間瀬サーキットを走っていた頃のままなのだ。ただ、あまりに調子が良いのでいじりたくなかった。これを今回、手元にあるボッシュ・ブループラチナFR8DP1Xの中古品を着けるのを機に1.0mmとした。尚、熱価はNGKの4番に相当する。

中心電極の材質と太さについて。
ちょっと前まではニッケルが主流だった。あのぶっといヤツね。減ってくると角が取れて丸くなるので、確認が容易だった。ところが最近、白金プラグなるものが登場してきた。白金をアチラの言葉で訳すとプラチナ。あのニッケルより更に耐久性に優れるという。ところが価格が高い(--;1円でもコストを抑えようとするメーカーは、なぜそんなものを使うのか?と考えたところ、どうやらメンテナンスフリー化に答えがありそう。

マークUの1G-FEのプラグを見ようと思ったら、ヘッドカバーのすぐ上をガッチリとボルト止めされたプラスチック製のインテークチューブが横たわっていた(--#)


たかがプラグ1本でこれ外せっての?


R32スカイラインのエンジンに至ってはダイレクト点火。ハシゴの様な形をしたキャリアにコイルが付いているのだが、バカな私は全てのネジを1本1本外していったのでエライ騒ぎになった。キャリアごと外せば良かったんだけどね。。。両エンジンとも白金プラグが指定されていた。10万km毎交換。取外し清掃・ギャップ調整不要らしいが、実際には5万kmで寿命とか。

そして最近、白金の耐久性を更に上回るイリジウムなるものが登場した。今回のHKSプラグにもそれが使われている。太い中心電極だと角が丸くなった時に具合が悪い。細くすればすぐに減る。でも白金やイリジウムなら・・・。といった考えなんでしょ?いくら耐久性が高いといっても、あまりに細いのは考えものだ。HKSは0.4mmだが、ここまで細いとやはり寿命が気になる。ボッシュ・ブループラチナは0.9mmと、相当な太さなので多少減ったところでギャップには殆ど影響がない。これだけ太いと材料代も大変だが、価格はHKSのイリジウムと大して変わらない。

じゃあ細ければ走りは変わるのか?といえば、ニッケル、白金(プラチナ)、イリジウム共、全然違いは感じなかった。少なくともライトチューンのNAでは不必要。マメに手入れをしていればニッケルだって充分通用する。個人的にはやや太目のプラチナかなー。

プラチナといえばスパークプラグの中心電極。それ以外に使い道って・・・あるんですよね。きっと(^^;ゞ